

日本人には昔から「謙譲の美徳(人を先に立てて自分は出しゃばらないという行為)」という風土があり、慎み深さが日本人のよさでもあり、大切な日本人の人間性の一つであると言われています。しかし、成長途上の子どもにとって、自分を前面に出し、自信をもって過ごすのとそうでないのとでは、学習や運動、人間関係などに大きな開きが出ます。その意味では、子どもの自己評価を大切にしたいと思います。
子どもたちは、『自分のことをもっと好きになりたい』と思っているのに、なかなかそのきっかけがないのではないかなと思います。「そのまんまの自分」の存在を好きになれるかどうかは、自分自身の働きかけだけでは足りないからです。他者からの「あなたが必要なの、そのままのあなたが大好きというメッセージ」が伝えられてこそ、『自分が好きになれる』のではないかと思います。
ある精神科医の講演で、講師が尋ねられました。「これまでの人生で最悪だったときの自分を思い浮かべてください。では、そのときの自分を『大好きだ』といえる人、手を挙げてください。」誰も手を挙げませんでした。講師は続けられました。「人生は、悪い時ばかりではないし、良い時ばかりでもない。必ず波がある。良い時は、波の最高潮の時、悪い時は波が最低の時。その波のどこから上を良しとするかによって、人生のとらえ方が変わってくる。最高潮のときだけを『良し』とするなら、それ以下はすべて『アウト』。波が最低の時も『良し』とするなら、それ以上は全部『OK』。」講師が教えてくださった「最悪の自分(子ども)を好きになる方法」は、毎日、自分(子ども)に、「こんな自分(子ども)が大好き」と言ってあげることだそうです。また、A・アドラー(心理学者)は、「人間が幸せだと思う3つの条件」中で、「自分のよいところも、悪いところもひっくるめて自分自身が好きであり、受け入れられることだ」と言っています。保健室でも、「自分が好きになれること」を目標に、子どもたちに“良いところ”を伝えています。家庭でも、子どもの心の成長を願い、試してみてください。

私は、保健室に来た子どもたちに、「自分こと、好き?」とよく質問します。子どもたちは、恥ずかしいのか、ほとんどの子が「え〜、自分のこときらい」と答えます。「自分のいやなところならたくさん言えるけど、好きなところ?そんなのないよ。」とこんな感じで自分を評価します。本校の実態調査からも自己評価の低い子どもが増えたという結果が出ました。
