『今が、大事なとき・・・なんです。』

 保健室には、いろいろな人がきます。そんなときに、「この子とどう接すればいいのだろうか・・・」と、悩むことが多々あります。そこで、『子供との接し方』や『子供の悩み』について、みなさんと一緒に考える機会がもてたらなと思いページを作りました。

 

<第2回>
子供の負の気持ちや感情にも向き合って、しっかり受け止められていますか。

保健室から子供たちの様子や友人関係をみていると、子供たちは、人とのつながりを求めているのに、どう接していいのか分からなかったり、どう感情を表現すればいいのか分からなかったりして、孤独感を抱えているように感じます。そんな子供たちの心は、どうなっているのか、養護教諭として、どう対処してあげればいいのか、毎日考えながら過ごしています。そこで、今回は、養護教諭の研修会で「臨床心理士 東京学芸大学 心理学学科 大河原美以先生」の講話を聞いてきたことで心に残ったことをお伝えしたいと思います。

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<第2回―A  テーマ:子供の感情の発達について 

 前回の話の続きになりますが、感情の発達に問題が生じる親子の関係には、3つの場合があります。1つには、前回説明した「よい子」「理想の子」に育てなければとあせるあまり、しつけが過剰に厳しくなってしまう場合です。
 
 2つ目は、「しかれない」という場合です。親が子供をしかれないのは、子供が怒ったり、泣いたり、反抗したりという負の感情を出したときに、「しかってしまったら、子供との関係がくずれてしまう」という気持ちが無意識に働き、この状況に対し強い不安を感じてしまうからです。この場合は、子供の考えを受け入れるといったあたかも子供の人権を尊重した考えであるかのように錯覚してしまいますが、ただ子供の機嫌をとっていることなのです。このように、大人扱いされて育った子供は、体からあふれる感情のままでいると、「親を不安にさせてしまう」という体験をしていることになります。その結果、敏感に親の顔色をうかがい、気を使うようになり、無意識のうちに親が安心する感情だけを感情として認め、親を不安に陥れる負の感情を感じないようにすることで、親に愛されようと自己調整するのです。
 
 3つ目は、親ごさん自身が病気であったり、家庭での人間関係で苦しんでいたりする場合です。親が、避けようのない現実の中に懸命に生きているときに、子供は自ら親に少しでも苦労をかけないように、感情を調節して「よい子」になります。

 このような感情のゆがんだ発達によって、子供は、「攻撃的な感情をコントロールできない」「自分の感情がわからない」「身体の感覚(例えば、困ったときに困った顔ができない)がない」「極端な二面性(家庭と学校の様子が違う)」といった症状がでてきます。子供たちが見せてくれる問題行動は、「本当はつらいの、助けて」ということを全身で伝えているサインなのです。小学生の時期は、厳しくしつけや指導をして、問題を見せなくすることもできます。しかし、いつまでも、心も体も小学生のままではありません。子供のこころは、大人が望む正の感情も大人が望まない負の感情も共に承認してくれる、そういうゆとりのある愛し方をしてくれる大人との出会いによって、育つものです。「わがままになる」という大人の不安によって駆使されてしまっている今の大人の在り方が子供のこころをおいつめていってしまいます。