蚕作り


 昔、田んぼが少なかったので、田んぼのひまな時に蚕を作って、お金をもうけておった。
 蚕を作るには、たねがみという紙に小さくぼつぼつに、たねを産ませてそれを育てた。たまごから出た細かい虫は、けごという虫で、それはだんだん大きくなって蚕になる。初めてねむって、動き出すとけごという。それから、二つね、三つねのときから、くわの葉を大きく切って、その上にかぶせる。その時、畑のあみをひいて、その上に蚕をのせて、その上にくわの葉を切らずにおおいかぶせる。ふんはその下に落ちる。一度ねるごとにだっぴする。四つねをしたら、体がとうめいになる。とうめいになると、わらの巣をこしらえて、その中に入れてやる。そして、わらとわらの中にまゆを作りはじめる。そのときは、ガタガタと音をさせると糸が切れる。まゆがかたくなると、まゆをわらからはずす。そして、はかりにかけて出荷する。くわの葉は家で作っていたけど、たりないので内山まで買いに行った。
 蚕は大きくなるにつれて、くわの葉をサクサクサクと音を立てて一日にたくさん食べるようになる。
 蚕には、ぬれた葉など、ぜったいにやられない。かわかして食べさせねばならない。そのために前の日にたくさんつんできて、次の日にやらなければならない。
 蚕作りを始めたのは、大正の初めからで、もっともさかんだったのは、大正の中ごろから昭和の15年ごろまででした。蚕には、春まゆと秋まゆがある。
 どの家でも蚕をかこい始めると、上手にかこうために、先生をむかえて教えてもらうようになった。